誰のための時間か?
仕事上のコミュニケーションの一つとして「会議」があります。少人数の場合もあれば10人20人と大人数の場合もあります。いずれも各々が時間を確保して「会議」に参加します。「会議」では、参加者がそれぞれ業務報告をしたり、相談や提案をしたり、それに対して質問や意見を述べたりします。ある人にとっては、自分のタスクへの影響が確認できて安心できたり、別の人にはタスクが振られてプレッシャーになったりと「会議」は参加者全員のための時間です。
では、「コーチング」はどうでしょうか。コーチングの時間は、基本的にはコーチとコーチングを受ける人の1対1で行うことが一般的です。リラックスしてお話ができる雰囲気作りも大切な要素なので世間話から始めることもあるかもしれません。そのあとは、コーチとコーチング受ける方の双方がコーチングスイッチをオンにして、コーチングを受ける方にたくさんお話をしてもらいます。会話の中心となるのは、コーチングを受ける人の果たしたいこと(目標・願望・ありたい姿)や果たしたいことを実現するために行動してみてうまくいったのか、思ったようにできなかったのか(振り返り)、次に何をしたらよいのか(アクション確認)となります。毎回のコーチングの時間でこのような会話を繰り返す中で、自分の考えや思いが整理されます。コーチの「どうでしたか?」の問いかけに応えるために、頭の中はフル回転で、自分はなにをやった?その時の相手(同僚やチームメンバー)の反応はどうだった?自分はどう感じた?そうなったのはなぜだ?を考えます。言語化するために、自分の現状やその先を一生懸命想像(内省)することで整理されて次に何をしたらよいのかが見えやすくなります。コーチは、想像(内省)を促す問いかけをします。例えば、「そうすることで何が変わりますか?」「変わることで何がよくなりますか?」「周りの方はどんな反応をすると思いますか?」という具合に。単なるおしゃべりと大きく違う点は、将来にフォーカスした問いである、ということです。コーチングの時間は、コーチングを受ける方のためのものであり、将来を思い描くためのものです。
「個別に対応する」ことの大切さ
コーチングの時間はコーチングを受ける方が主体となるわけですが、コーチンを受ける方の目標達成に集中するためには「個別に対応する」ことがとても大切になります。
人はそれぞれ異なります。価値観、状況、考え、望み、望みの強さ、性格、好み、などなど。。。同じ人物でも置かれている状況によって考えや望みは変わります。例えば、会社の中でいうとチームリーダーから部署長に昇進して責任範囲が変わったときに、チームリーダー時代の望みは、チームワークの良い部署にしたいであったけれど、部署長になった今の望みは、部下が最大限活躍できるように環境を整えたいというように、その時々の状況で求めることが変わります。そのため、コーチに求められることは、柔軟に「個別に対応する」ということです。何を個別に対応するのか、というとそれは「ゴールへの道づくり」と理解しています。
コーチングの主体は、コーチングを受ける人です。コーチングを受ける人のために時間を使います。コーチは伴走者のようなものです。ペースメーカーとも言えるかもしれません。コーチングを受ける人のゴールに向かって並んで走り、時にはう回路を提案したり、ペースを落とすことを提案したりします。地図上にはたくさんの道があります。今日の目的地へはどの道を走るのが良いか、その時のその人の気分や体力に合わせてルートを選ぶのです。具体的には、コーチングの会話の中で、「(この方は近道を選ぶことを好む傾向があるから近道を提案しよう)さらに早く結果を出すにはどのような方法があると思いますか?」、「(やり残したことがあるように感じているようだから、今日はあの道をもう一度走ることを提案しよう)先ほどお話しされたことについてもう少し掘り下げてみませんか?」というように、コーチングを受ける方の傾向や状況に合わせて「ゴールへの道づくり」は柔軟にかつ個別に対応することが重要となります。
コーチは、コーチングを受ける方が笑顔で、誇らしげにゴールテープを切る姿を見たいがために、一緒に走るのだな、と感じています。
明日もワクワクする日になりますように。
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